葛西 薫

撮りフェスで室蘭をこのように表現した写真を初めて見た。人気のない深夜の町を狙ったら、偶然に女性が現れたのだろうか… 左右対称の画角が劇画のようであり、夢の中の風景に感じるのはそのせいなのか。

辻 佐織

まるで映画のポスターのような、室蘭中央町の夜のワンシーン。この場所は例年人気の撮影ポイントのようですが、雨上がりの黒く艶やかな交差点を、真っ白なワンピースの女性がすっと横切る瞬間を捉えた構図に息を呑みました。みぞおちのあたりがツンとするような感覚を覚え、心がざわつきます。空気の湿度まで写し取ったような、密度の高い写真で強く印象に残りました。

浅田 政志

夜の商店街を人物入りで幻想的に撮影されていますね。写真を眺めていると、色々と物語が浮かんできて、まるで映画のワンシーンのように見えてきました。構図もどっしりとしていて安定感がありますね。準大賞おめでとうございます。

小林 哲朗

雨上がり、夜の中央町の静まり返った空気感の中、歩いている人物の様子が白服と相まって際立っていますね。ブレている感じで写っているのでまるで幽霊のような儚い存在を感じました。左足だけブレずにしっかり止まって写っているシャッタースピードのコントロールも見事です。

田村 広司

寂しげな夜の商店街を、一本の光が貫くように白い服の女性が横切る。シネマティックな絵作りが物語を予感させる。人物をどの程度流すか、その見極めとシャッタースピードの設定が鍵となり、構成が巧みにまとめられています。

TAKAMURADAISUKE

この街の美しさ、雨のあとのロケーション、その中で静かに輝いている白い衣装の女性。安定したフレーミングと、程よくブレている人物。美しい写真です。

初めて訪れた未明の商店街で、雨上がりの静けさと灯の温かさに心を惹かれました。横断歩道を渡る人の動きをスローシャッターで写し、流れる時間の気配を表現しました。この撮影は自分1人ではできるものではなく、ご協力いただいた方に何よりも感謝申し上げます。選んでいただきとても嬉しく思います。

葛西 薫

なぜなのだろう、とても惹きつけられた。いわば平凡な町並みに個性的なキャラクターが合成されて、それが複雑にならず一枚の写真としての独特の匂いを放っている。色調もきれいだ。今現在の室蘭が写っている、と感じた。

辻 佐織

とても興味深い作品です。この写真の中には、郵便局と人、ガラス窓、ディスプレイの人形たち、そして曇り空といった複数のレイヤーが交差しています。それぞれのモチーフが見る者の視点を錯綜させ、独特の世界観へと引き込みます。ペールトーンで統一された色彩も詩的で、静かなストーリー性を感じさせます。

浅田 政志

審査会の時に、他の審査員の皆さんと見ていて会話が盛り上がった不思議な魅力に溢れた1枚です。どうやって撮影したかはいまだに謎ですが、室蘭の町とフィギュアがマッチしていてとてもユーモアがあります。こんなアイデアはなかなか浮かびません。アーティスティックな素晴らしい1枚です。

小林 哲朗

一目では何が写っているのか把握しきれない情報量の写真ですね。漫画HUNTER×HUNTERのキャラフィギュアが飾られたショーウィンドウに現実世界の郵便局が写り込んでいるのが対比のようで面白いです。写り込みかな、多重露光かなと見るものを考えさせる不思議さも併せ持ってますね。

田村 広司

偶然的な重なりを利用し、アニメのキャラクターと街の風景という異なる次元の要素を重ねることで、現実と虚構の境界を視覚的に浮かび上がらせた。視覚そのものの不確かさと曖昧さを、印象的に描き出していますね。

TAKAMURADAISUKE

写り込みなのか、多重露光なのか。背景の現実世界と、前景のマンガのキャラクターの非現実世界のレイヤーが、淡い露出で軽やかに表現されていて、面白い写真です。

ショーウィンドウの中で今にも動き出しそうなフィギュア達と街を行き交う人達。店主の温かいおもてなしの気持ちと室蘭の街並みを重ね合わせました。今年で最後となる撮りフェス。関係者の皆様、大変お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。室蘭を大いに盛り上げる取組が、また始まる事を願っています。魅力溢れる街、室蘭に感謝を込めて。